敬愛大学 校友会報 -Keiai University Press-
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敬愛大学校友会
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ESSAY

 8月下旬、妻とともに隠岐の島を訪れた。ここ6年程手術の繰り返しで衰えた体力がようやく回復し、思い切って遠出してみたものである。島では私のゼミ出身のOBが4日間も付き合ってくれた。議長職を含め議員を40年務めているとのこと。すでに66歳。学生時代からの突然の再会だったが、空港ですぐに本人を認識できた。話の端々から学生時代の思い出と、現在も続いている友情を大切にしていることを窺い知ることができた。
 10月上旬、特別会計指導室OB・OGが私の退職を祝う会を開いてくれた。出席者は入室昭和46年から平成7年までの21名。特別会計指導室は私が専任講師として着任した昭和44年、まだ大学の組織が固まっていない中、公認会計士や税理士受験を目指す学生を集め、なかば強引に空いている部屋を探し出しそのへんにある机・椅子を並べて勉強を始め、事後承諾を得て設置したものである。現在では若い指導教授を得て正規の組織として発展している。
 集まった諸氏は、学生時代の勉学と友情がどれだけ現在の仕事に役立っているか、を盛んに話題にしていた。年代の差は大きいものの、その隔たりを感じさせないものであった。
 どの部面においてもOB・OGにとって、私は生身の人間であると同時に学生時代や友人・教職員との繋がりを表す象徴であった。そして、象徴としての意味は、それぞれの記憶の中にだけあるのではなく、学生と教職員が生き生きと行き交い、いつでも訪ねることができる現に存在する大学があってこそ輝きを増すのである。
 人口減少・学生減少がさけばれる今日ではあるが、大勢の卒業生のためにも、なにがなんでも学園を存続させなければならない。これは退職する一教員の強い思いである。

平成25年秋の日に

 

鈴木明男
 

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